日本警備犬協会 JAPAN K9 ASSOCIATION

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爆発物探知犬とは

2023.05.11

まずは爆発物探知犬のことを分かりやすくまとめてみました。


目次
1爆発物探知犬とは
2爆発物探知犬の仕事内容
3爆発物探知犬に向いている犬種
4テロ対策における爆発物探知犬の優位性
5爆発物探知において犬とそれ以外の物(機械や技術)の違い
6爆発物探知犬のデメリット
7世界の国々の爆発物探知犬の活用の様子
8優れた爆発物探知犬の見分け方


【1爆発物探知犬とは】

爆発物探知犬は、特別に訓練された犬のことで、主に爆発物や危険物の探知に使用されます。爆発物探知犬は、優れた嗅覚能力を持ち、爆発物の成分や匂いを検出することができます。また複数の爆発物の匂いを同時に検出することも可能です。

爆発物探知犬は、警察や自衛隊(軍隊)、空港や鉄道駅、イベント会場などの公共の場所で使用されることがあります。爆発物探知犬の訓練は非常に専門的で、一般的には子犬の頃から始められます。爆発物探知訓練期間は通常数ヶ月から数年にわたり、犬種や訓練の目的によって異なります。

爆発物探知訓練の過程では、爆発物や危険物の匂いを特定するための基本的な訓練から始まります。次に、匂いの源を特定し、告知する方法を学びます。訓練士は、爆発物や危険物の匂いを含む物体を配置し、犬がそれを探し出し、特定の行動(=告知)をとるように促します。例えば、見つけた場合に座ったり、伏せたりするなどの反応を示すことが求められます。

訓練された爆発物探知犬は、検索や探索の任務において非常に貴重な存在です。彼らの嗅覚能力は人間のそれよりもはるかに優れており、短時間で広い範囲をカバーすることができます。これにより、爆発物や危険物の発見が迅速かつ効率的に行われ、人々の安全が確保されます。

ただし、爆発物探知犬の訓練と運用には専門知識と注意が必要です。爆発物探知犬は訓練された専門家の指導のもとで作業する必要があります。また、爆発物探知犬の健康と福祉も重要であり、適切なケアと訓練が提供される必要があります。

【2爆発物探知犬の仕事内容】

1. 爆発物の探知: 爆発物探知犬は、訓練によって爆発物の臭いを検知する能力を身につけます。彼らは公共の場所、交通機関、建物、イベント会場など様々な場所で使用され、爆発物の存在を迅速かつ正確に検知します。
2. エリア探索: 爆発物探知犬は、特定のエリアや建物を探索して爆発物を発見します。彼らは隠された場所や困難な環境でも嗅覚を頼りに効率的に探査します。
3. 車両や荷物の検査: 爆発物探知犬は、車両や荷物を検査して爆発物の存在を発見します。空港や港湾、境界検査などで使用され、爆発物の密輸や不正な取り扱いを防ぎます。
4. イベントやVIPの警護: 爆発物探知犬は、大規模なイベントやVIPの警護にも使用されます。彼らは会場や周囲のエリアをパトロールし、爆発物の検知と予防を担当します。

【3爆発物探知犬に向いている犬種】

1. ベルジアン・マリノア: ベルジアン・マリノアは優れた嗅覚と高い集中力を持ち、爆発物探知任務に適しています。活発で勤勉な性格も特徴です。日本ではあまり馴染みがありませんが、軍用犬としてはスタンダードになりつつあります。
2. ジャーマン・シェパード: ジャーマン・シェパードは知能が高く、トレーニングに対する理解力と忍耐力があります。優れた嗅覚と働きたいという意欲も持っています。
3. ラブラドール・レトリバー: ラブラドール・レトリバーは友好的で協調性があり、忠実な性格です。嗅覚が鋭く、訓練への関心と能力が高いため、爆発物探知犬として優れています。
4. ボーダー・コリー:高い運動能力と丁寧な鼻使いが特徴です。繊細な性格も丁寧な探知作業の強みになります。
5. ジャックラッセル・テリア:小さな体が船の中など狭い場所で威力を発揮します。快活で粘り強い性格を持っています。話題になったパトロンはこの犬種です。

【4テロ対策における爆発物探知犬の優位性】

爆発物探知犬は、テロ対策において以下のような優位性を持っています:

1.優れた嗅覚能力: 爆発物探知犬は、人間の嗅覚よりも遥かに優れた嗅覚を持っています。彼らは微量の爆発物成分やその他の危険物の匂いを検出することができます。この能力により、爆発物が隠された場所や密閉された空間など、人間が容易にアクセスできない箇所でも効果的に探知することが可能です。

2.高い探知能力と迅速な反応: 爆発物探知犬は、迅速かつ正確に爆発物を探知することができます。爆発物探知犬の訓練により、特定の匂いを検出した場合に適切な反応を示すように訓練されています。これにより、危険な状況を素早く把握し、必要な対策を講じることができます。

3.広範囲な探知能力: 爆発物探知犬は広い範囲を素早くカバーすることができます。人間が手作業で探索する場合に比べて、爆発物探知犬はより広いエリアを短時間でカバーすることができます。これにより、人員や時間を節約しながら、より効率的に爆発物探知作業を行うことができます。

4.非侵襲的な探知手法: 爆発物探知犬は非侵襲的な探知手法です。彼らは匂いを検出するために鼻を使用し、爆発物が隠された場所や物体を直接触れる必要はありません。これにより、爆発物探知作業がより安全に行われ、爆発物の取り扱いや解除に関連するリスクを軽減することができます。

5.訓練と運用の柔軟性: 爆発物探知犬は、訓練と運用の柔軟性があります。爆発物探知犬は訓練によって特定の爆発物の臭いを検知する能力を身につけますが、それに加えて新しい爆発物の臭いにも素早く適応することができます。訓練プログラムは継続的に見直され、最新の爆発物に対応できるようにアップデートされます。また、異なる環境やシナリオにおいても適切に運用できるように、訓練は多様な条件で行われます。これにより、爆発物探知犬は様々な場所や状況で効果的に活動することができます。

【5爆発物探知において犬とそれ以外の物(機械や技術)の違い】

爆発物探知において、犬とそれ以外の物(機械や技術)との違いはいくつかあります。

1.嗅覚の優位性: 犬は非常に優れた嗅覚を持っています。彼らの鼻は、微量の臭気や特定の化学物質を検出することができます。一方、機械や技術は、犬ほど高い嗅覚能力を持っていません。犬の嗅覚は非常に繊細であり、さまざまな爆発物の成分や匂いを特定することができます。

2.検知速度の優位性:犬は高い感度と迅速な移動能力を持っているため、広範囲のエリアを効率的に探索し、爆発物を迅速に検知することができます。一方、機械や技術は設置や操作に時間がかかることがあり、犬に比べて検知速度が劣る場合があります。

3.広範囲なカバレッジ: 爆発物探知犬は、広い範囲を素早くカバーすることができます。彼らの嗅覚能力と移動性により、大きなエリアを効率的に探査することができます。一方、機械や技術は特定の場所や装置に配置され、限られた範囲内で作動します。

4.柔軟性と適応性: 犬は様々な環境や状況に適応する能力に優れています。彼らは異なる場所や条件での訓練を受け、それに応じて行動を調整することができます。機械や技術は、特定の設定や条件での使用に最適化されていますが、柔軟性には制約があります。また爆発物探知犬は訓練を通じて新たな爆発物の臭いにも適応できる能力を持っています。一方、機械や技術は新たな脅威に対応するためにはアップデートや変更が必要となることがあります。

5.容易な輸送と展開: 爆発物探知犬は、必要な場所に比較的容易に輸送および展開することができます。彼らは移動手段を必要とせず、ほぼどのような環境でも活動できます。一方、一部の機械や技術は、複雑な設置や専門的な設備が必要な場合があり、展開に時間と労力を要することがあります。

これらの要素により、爆発物探知犬はテロ対策や危険物の検知において優れた能力を発揮します。ただし、犬も訓練とケアが必要であり、適切な環境とトレーニングが提供される必要があります。また、爆発物探知犬による探知は、他の技術や手段と組み合わせることでさらに精度が上がります。

【6爆発物探知犬のデメリット】

爆発物探知犬にはいくつかのデメリットが存在します。

  1. 訓練と維持管理の費用: 爆発物探知犬は、訓練と維持管理に多額の費用がかかります。爆発物探知犬の訓練には専門的なトレーナーと施設が必要であり、継続的な訓練と定期的な健康管理が必要です。また、犬の餌や医療費、生活環境の提供などの経費もかかります。
  2. 時間と労力の要求: 爆発物探知犬の訓練は時間と労力を要します。犬は訓練士との密接な関係を築くために時間を必要とし、繰り返しの訓練が必要です。また、爆発物探知犬は現場での実務経験を積む必要があり、訓練以外の時間も必要となります。
  3. 運用方法の制限: 爆発物探知犬は疲労することもあるため、長時間の運用には制約があります。また極度の暑さに対する配慮も必要になる場合があります。
  4. 誤検知の可能性: 爆発物探知犬は訓練されているにも関わらず、稀に誤検知が発生する可能性があります。犬は感情や訓練士の影響を受けることもあり、状況や周囲の刺激によって判断が影響を受けることもあります。ハンドラーの訓練とスキル要求: 爆発物探知犬はハンドラー(訓練士)とのチームワークに依存しています。ハンドラーは犬の行動を理解し、正確な指示を与える必要があります。ハンドラーには犬とのコミュニケーション能力や訓練技術、専門知識が求められます。ハンドラーの訓練とスキルの獲得にも時間と労力がかかります。
  5. 寿命と引退の問題: 爆発物探知犬は犬としての寿命があります。通常、犬の訓練と活動のピークは6〜10年程度ですが、犬種差、個体差があります。犬が引退する際には、適切な引退先やケアの提供が必要です。

これらのデメリットは、爆発物探知犬の活用に際して考慮すべき重要な要素です。犬の訓練とケアにはコストや時間がかかるため、爆発物探知犬を適切に活用するためには綿密な計画とリソースの配分が必要です。また、爆発物探知犬の能力や制約を理解し、他の技術や手法と組み合わせて使用することも重要です。

【7世界の国々の爆発物探知犬の活用の様子】

世界の国々では、爆発物探知犬が広範囲で活用されています。以下に一部の国々の爆発物探知犬の活用の様子を紹介します。

アメリカ合衆国: アメリカでは、爆発物探知犬が法執行機関や連邦政府機関で幅広く使用されています。特に警察や国土安全保障省などの組織が、公共の場所や交通機関での爆発物の探知に犬を活用しています。

イギリス: イギリスでは、爆発物探知犬が警察や軍隊、空港などで使用されています。また、イギリスの警察犬部隊は、爆発物の探知だけでなく、麻薬や火器の探知など、多岐にわたる任務に犬を活用しています。

フランス: フランスでも、警察や軍隊で爆発物探知犬が使用されています。また、フランスでは国内の主要な鉄道駅や空港でのセキュリティチェックにおいても、爆発物探知犬が活用されています。

イスラエル: イスラエルはテロ対策の先進国として知られており、爆発物探知犬の活用も盛んです。イスラエルの空港や公共の場所では、爆発物探知犬が重要な役割を果たしており、爆発物の探知や予防に大きく貢献しています。

ドイツ: ドイツでも、警察や軍隊が爆発物探知犬を使用しています。特に重要なイベントや政府施設、交通機関でのセキュリティチェックにおいて、犬を活用して爆発物の探知と予防を行っています。

ウクライナ:戦時下のウクライナではロシア軍が残した地雷や不発弾などの爆発物の発見に爆発物探知犬を使用しています。

日本:爆発物探知犬の分野では世界から出遅れ感はあるものの、自衛隊や警察、税関で爆発物探知犬が実働し始めています。私たちは自衛隊や警察、税関への納入実績があります。

これらは一部の例ですが、多くの国々が爆発物探知犬をテロ対策やセキュリティ活動に活用しています。国や地域によって訓練方法や活用範囲は異なる場合がありますが、爆発物探知犬は国内外の安全確保において重要な役割を果たしています。

【8優れた爆発物探知犬の見分け方】

優れた爆発物探知犬とそうでないものを見分けるためには、以下の要素に注目することが重要です。

1.訓練と認定: 優れた爆発物探知犬は、適切な訓練を受け、訓練を通じて高い能力を獲得しています。爆発物探知犬が信頼性のある訓練プログラムを経ているかどうかを確認しましょう。また、認定機関からの認定を受けているかどうかも重要なポイントです。

2.経験と実績: 爆発物探知犬の経験と実績は、その能力と信頼性を示す重要な要素です。過去の任務や実際の現場での運用経験がある爆発物探知犬や、信頼性の高い結果を示した犬が好ましいでしょう。

3.ハンドラーの能力: 爆発物探知犬のハンドラー(訓練士)の能力も重要です。優れたハンドラーは犬とのコミュニケーション能力や訓練技術を持ち、犬の能力を最大限に引き出すことができます。ハンドラーのバックグラウンドや専門知識を確認することも重要です。

4.継続的な訓練とメンテナンス: 爆発物探知犬は定期的な訓練とメンテナンスが必要です。優れた爆発物探知犬は、定期的な訓練プログラムに参加し、継続的にスキルを磨いているでしょう。爆発物探知犬が適切な訓練とメンテナンスを受けているかどうかを確認しましょう。

5.参考情報とフィードバック: 爆発物探知犬を提供する機関や訓練士からの参考情報やフィードバックも重要です。他の組織やユーザーからの評判や推薦を調査し、信頼性と効果のある爆発物探知犬を選択することができます。

以上の要素を考慮することで、優れた爆発物探知犬を見分けることができます。信頼性のある訓練機関や専門家の助言を受けながら、適切な選択を行いましょう。爆発物探知犬は重要なセキュリティツールであるため、十分な評価と慎重な選択が必要です。